シルク100%


 

まおりぼバレンタイン番外編2017。

3年目にもなるとネタが尽きてきますね。

弱BL気味。

 

……今日はふんどしの日らしいです。

 




 さあ、今年も2月14日がやってきた。
 人間どもの、しかも製菓会社が流行《はや》らせたらしいイベントに魔族の自分が毎年一喜一憂させられるのも癪《しゃく》だが、いい加減耐性もついた。
 それどころか受け取った側のリアクションを見て翌年のチョコを考察するスキルまで習得した。

 その長年の研究成果によると、あの人はいかにもそれっぽいチョコよりも巨大戦艦型クッキーのほうが反応がいい。むしろチョコを持って迫ったりしては逃げるばかりだ。

 バレンタインと言えばチョコなのだろうが、甘いものが苦手なあの人のこと。
 チョコは外したほうが無難だろう。


 で、今年は。
 私は引き出しの奥にしまい込んでおいた15cm四方の薄い箱を取り出す。

 こういう時に通信販売は有難《ありがた》い。
 こんな田舎町ではろくなものが売っていないし、かといって遠出したところで希望のものが手に入るとは限らない。それに比べれば通販は世界中のあらゆる店の品を見比べてこれぞと思った一品を手にすることができる。
 材質も製造も熟練の匠による素晴らしい出来栄えだ。きっと気に入ってくれることだろう。


 そう言えば世間では贈り物ひとつにも意味があるのだとか。
 指輪やネックレスなどのアクセサリーには「相手を独占したい」という意味が、財布などの身につけるものには「一緒にいたい」という意味があるのだと聞いたことがある。それ以外にも口紅や雑貨や下着などなど……そんな裏の意味をあの人は気づいてくれるだろうか。

 いや、知らなくていい。下心があるように思われるのは心外だ。
 これは2月14日がバレンタイン以外の日でもあると知ったから用意したまでのこと! それ以外の邪心はない! 決して!!




 それから数日。

 悪魔の城と呼ばれるノイシュタイン城には、あり得ないほど顔を腫らした執事服の悪魔が出ると噂になったと言う。