2021年1月のお題「運」で書かせて頂きました。
スペース・改行を除く300字。
ジャンル:オリジナル
注意書き:特になし。
※最近のクレーンゲームは
運でどうにかなるもんじゃないんですよ、的な。
運に見放された人生だった。
片想いの彼は友人に取られ、見合い相手は女を作って消え。
就職先はブラックで終発帰りはあたりまえ。
そんな日常から逃れるようにのめり込んだスマホゲームは、推しのピックアップだと言うから9万入れて天井したのにすり抜けた。
なのに更なる試練を与えようと言うのか。
ゲーセンに推しのぬいが入荷したと聞き、性懲りもなくつぎ込み。
只今3千円が溶けたところ。
クレーン初心者の私に奇跡なんて起きるはずがなかった。
またしても涙を呑んで諦めるしかないのか――。
「……それ確率機だからあとちょっとですよ」
「えっ」
私の『運』は諦めた少し先で待っていたのかもしれない。
推しを手に、家路を急ぐ私の足は軽かった。