勇者が必殺技の台詞フレーズが欲しいと言い出した。



　聖剣を台座から抜いたことで勇者に選ばれたこの男。
　正直、先に剣の握り方を覚えろと思いたいレベルなのだが。

「って”闇の炎で朽くち果てろ！　破滅のカタストロフィ・残響リフレイン！”みたいな？」
「いやぁ」

　なのに最初にすることが必殺技の命名？
　前途多難だ。早めに矯正しなければ。

　まずその肯定感溢あふ>/rt>れる『いやぁ』を否定の『否いや』に変換して。


「だよなぁ破滅のカタストロフィ・残響リフレインなんて厨二病ちゅうにびょうじゃあるまいし」
「……だよねぇ」

　笑い飛ばせば、勇者も愛想笑いを浮かべる。



　さあどうする？
　どうもできまい。諦めろ。

　と思ったのも束つかの間。



「やっぱ時代はシンプルに剣の名前だよね。
　”闇の炎で朽くち果てろ！　聖剣！せいっ！　けぇぇん！”　とか、どう？」
「……聖剣に闇使うな」