140字SS-sideM 5


耳掻き




 彼が珍しく耳など弄っている。
 聞けば掻きすぎて傷が出来、余計にむず痒いのだとか。
 言ってくれれば耳くらい掻くのにと見てみれば、なるほど、真新しい傷から血がにじむ。

 いつもの癖で舐めとれば、妙に艶のある悲鳴が上がった。
 馬鹿と睨む目尻の紅にまで煽られる。

 困った。耳だけで止まれそうにない。



銀色の鳥


 

 壊れかけ/お題bot(@odaidai_bot)様より

 【三題噺】夜/鳥/光

 ※BL

 



 鳥が飛ぶ。
 夜の闇に鳥が飛ぶ。
 月を背に鳥が飛ぶ。
 銀色の翼で鳥が飛ぶ。

 その鳥を目で追う。
 足で追う。
 爪で簡単に引き裂いてしまえそうなその鳥を。
 青い光を瞳に宿したその鳥を。

 誰かの鎖がついたその鳥を。

 この手では抱きしめる前に壊してしまうだけだろうけど。
 でも欲しいのです。あなたが。



本当の君はどこにいる


 

 診断メーカー(http://shindanmaker.com/531520)様より

 グラ青で「本当の君はどこにいる」

とかどうでしょう。

 ※BL

 



 初めて会った時の可愛いあなた。
 無言ですれ違って行った人形のようなあなた。
 魔王として勇者の前に立つあなた。
 妹の前でお兄ちゃん然としているあなた。
 人懐っこい領主様のあなた。
 本当のあなたはどこにいるのだろう。

「どれがお好み?」
「とりあえず夜はエロくなりませんか?」
「……それは無い」



笑う


 

 壊れかけ/お題bot(@odaidai_bot)様より

 【文題】笑う、という意味をもつ言葉を三回、

それぞれ違う表現方法で

 ※微BL

 



 紅い瞳の魔王は動かぬ勇者を見下ろし嘲笑う。
 難攻不落と呼ばれて久しいが戻って来た彼にその面影は無い。
 僅かに微笑む程度ではもう隠せない疲労の色。
 無理もない。勇者は日替りでも魔王は連戦だ。倒れかかった身体を抱き支えるとやっと安心したように頬を緩ませた。
 おやすみ。私はあなたの帰る場所。



壊すべき世界


 

 診断メーカー様( http://shindanmaker.com/509564)より

 君(の為に)僕|(はこの)幸せ(な世界を壊すよ)。

 



 この世界は幸せなのかもしれない。
 でも、あなたが笑ってくれなければ何の意味も無い。
 彼女のためにあなたはこの世界を守ろうとしたけれど、そのためにあなたが壊れてしまうなら、あなたを失うことになるのなら、私はこんな世界などいらない。
 壊していい? この世界を。
 あなたのために。
 私のために。



幸せに決まってる


 

 診断メーカー様( http://shindanmaker.com/509564)より

 君|(は)僕|(といて)幸せ(に決まってるよね)?

 ※BL

 



 朝起きて、あなたがいて、夜眠る。
 たまに手を握ったり抱き上げたりするオプション付き。
 その度に罵声が飛んでくるけれど、真っ赤になったあなたを間近で見られる幸せに比べれば些細なこと。殴るのも火炎弾を打ち込むのも、ツンデレなあなたの愛情表現だと思えば悪くない。

 ねぇ幸せでしょ? 私は幸せ。



黄色いサンダル


 

 診断メーカー様( http://shindanmaker.com/555225)より

 お題は「一人にさせて」・「暴走する体温」・「黄色いサンダル」です。 

 



 彼の足元を見て絶句した。
 甲と足首にベルトが付いた女性物の黄色いサンダル。
 普段革靴に包まれている足が見えると言うだけでここまでエロく……いや似合っているから反応に困る。
 聞けば義妹《いもうと》に履かされたとか。GJ《グッジョブ》! いや、そうじゃない。
 何故《なぜ》。
 悩む間も暴走する体温は急上昇。
 ああ、少し一人にさせて。



それでいいじゃない?


 

 診断メーカー様( http://shindanmaker.com/509564)より

 君|(と)僕|(が)幸せ(ならそれで良い)。

 



 義妹《いもうと》? 本人が子供じゃないと言ってるんだから大丈夫でしょ。
 あの子には(全く頼りにならないけど)勇者もいるんだし奇跡の1つもおこしてくれますよ根拠ないけど。
 世界だってそう。
 彼らの世界は彼らに任せておきましょう。滅亡したって知ったことか。

 あなたは私と幸せになっていればいいんですよ。ね?



幸せを教えてあげる


 

 診断メーカー様( http://shindanmaker.com/509564)より

 君|(だけに)僕|(から)幸せ(を教えてあげる)

 



 不幸を一身に背負ったような顔をしないで下さい。迷惑なんですよ。家も過去もくそ忌々しい小娘も、あなたが心を砕く必要など、

 は? 何も迷惑などかけていない?
 あなたはそうお思いでしょうが私は気になるんです。朝から晩までその顔を……何ですその嬉しそうな顔は。
 幸せがわかった? ……ふーん。そう。