Twitter300字ss様第二十六回のお題「月」で書かせていただきました。
スペース除く300文字。
ジャンル:オリジナル
STORIE様用に作ったものの文字だけ持って来たものです。
これだけ読まれても意味不明だと思います。
STORIE様のフォームでご覧いただければと思います。
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できればスマホ推奨です。
月にウサギがいないと知ったのは、いつだっただろう。
「何故そんなこと言うの。月に行ったこともないのに」
「行かなくてもわかるよ。あれは地面の模様。
ここじゃウサギだけど、外国じゃカニや人間の女に見えるんだ」
「それが正しいってどうして言えるの?」
「この地面だって、
本当はでっかいカメの上に乗ったゾウが支えているのかも知れない。
東から西へ、太陽のほうが動いているのかもしれない」
「空気のない月に生き物はいない」
「空気が無くても生きていられるウサギかも」
そんな馬鹿な。と思ったけれど。
でも僕は真実を知らない。
「あれは、そのウサギの影かもしれない。でしょう?」
「……」
ああ。
やっぱりこの目で見なきゃわからないね。
「不思議だと思わないか?
あの地球の衛星でしかないちっぽけな星に、我々は何故ああも心惹かれるのだろう。
兎も蟹も、月宮殿の姫君すらいないというのに」
「それは尚早だ。きみはその目で確かめたのかい?
世間で真実とされていることが全て正しいとは限らないさ」
「はは。リアリストのきみらしい台詞だ」
「人類が月に辿りつくようになっても、きみは同じことを言うのだろうね」
「無論。この目で見、この身で感じたことだけが真実だ」
「だから今こうして君と月夜を歩けるのは、なによりの幸いだと思う」
「御覧、月が綺麗だね」
「……。……それはリアリストとしての台詞かな?」
「さあ? どうだろうね」