【2016/08】お題:声


 

2016年8月(第二十四回)のお題「声」で書かせて頂きました。

 

スペース除く300字。

ジャンル :オリジナル(まおりぼスピンオフ)

注意書き:字面ではわかりませんが根本はBLです。

 

 

 空欄カギ括弧部分、なにを言っているかはあえて言いませんが

仄暗い恋愛っていいですね。

 闇堕ちしてしまえー(ぉぃ

 

【言霊】

 

 

「声が聞こえるんだ」

 

 その人は憂鬱そうに呟く。

 

 聞けば、眠りにつく頃になると

囁き声が聞こえてくるのだとか。

 

「 志半(こころざしなか)ばで散った 古(いにしえ)の勇者たちが

恨み言でも言ってきましたか?」

 

 ここは魔王の城ですからね、と笑えば、

他人事だと思って、と当代の魔王様は口を尖らせる。

 

 

「でも 、恨み言には聞こえなかったけど」

「……愛でも囁かれたんですか?」

 

 言えば図星とばかりに目を逸らされた。

耳がほんのりと紅い。

 

 

 

 言霊という言葉を知ったのは 何時の頃だったか。

 聞こえているとは思わなかったが、それだけ想いが強いと言うことだろう。

 

「     」

 

 今宵もまたその言葉を舌先に乗せる。

 耳元で囁くように。

 何度も。何度でも。

 

 

 

 いつか。

 あなたが私のものになるその日まで。