【2017/04】お題:散る


 

2017年4月(第三十一回)のお題「散る」で書かせて頂きました。

 

ジャンル:オリジナル

注意書き:鬱展開、流血表現が有り。

スペース除く300字 

 

 

ノベルゲーム風のものも作りました。

こちらのほうがわかりやすいかも。 

Plicy様サイトに飛びます。

【きみの桜が】

 

 

 12年前、

きみを見つけたときも桜が咲いていた。

 髪についた花びらが、きみのために誂えた髪飾りのようで、

だから僕は

教室でもすぐにきみを見つけることができたんだっけ。

 

 

 9年前、

上京して進学した大学でも桜が咲いていた。

 きみと同じ大学に行きたくて3年間頑張ったの、

知らないよね?

 

 

 5年前、

就職した職場にも桜が咲いていた。

 きみとは配属先が違ってしまったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今年。

 僕はきみのいる本社に戻ってきて。

 

 きみの隣には見たこともない男がいて。

 

 

 

 ――誰、ダイ? ソレハ。

 飛び散った紅は花びらより鮮やかで。

 同じ紅に染まったきみは強張った顔で

 

 初メテ、僕ヲ 見テクレタンダ。

 

 

 

 

 

 

 来年もきっと桜は咲くね。

 

 僕のためだけに、咲いてくれるね?

 


 

ジャンル:オリジナル(まおりぼスピンオフ)

注意書き:BL

スペース除く300字 

 

【4月1日】

 

「好きだよ」と目の前の唇が動く。

 こんな話あったな、何て題名だったっけ、と、今考えるべきはそんなことじゃないのに頭の中でストーリーとBGMがリフレイン。

「私もです」

 意を決して細い身体をぎゅうっと腕の中に閉じ込めると――

 

「今日何の日?」

 腕の中から笑い声がした。

 

 

 でもそんなことはお見通し。

「例のアレ、嘘を言っていいのは午前中だって知ってました? 今夜は寝かせませんから……覚悟してくださいね」

「え!? い、いや、最初は清い交際からって言、」

「10年来の付き合いでそんな今更」

 

 顔を覗き込めば朱を散らしたように真っ赤に染まっていて。

 嗚呼。嘘を懲らしめるだけのつもりだったのに、理性が木っ端微塵に散ってしまいそうだ。