アイス買ってきて。


 

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推しCPの片方がどうしようもないつらい目にあったときどうするかよりも

1000円渡されてアイス買ってきてって言われたとき

何のアイス買って来るかって話をして欲しいです

 

 より   

 

 

  スペースと改行を除く722文字。

 


  

 

 私は悩んでいた。

 アイスを買って来いを金を渡されたものの、何が食べたいのか確認するのを失念したのだ。だが唐突に「アイス買って来て! 10分以内!」と有無を言わさず追い出されたのだから、この件に関して私に責はないだろう。

 

 さて問題は何を買うかだ。

 私のオススメはハーゲンダッツだが、あの人は案外にチープな味を好む。特にこんな暑い日はバニラよりもシャーベット系一択だろう。バニラは後で喉が渇くから、その選択はあながち間違ってはいない。

 

 しかしシャーベット系でもアイスバーは駄目だ。あの棒状のものを咥えるのは、いやポタポタと融けた滴が落ちるのもあの人がやると妙にエロい。

 だがカップを選んでもあの小さな匙で舐める舌のちらちらと見える紅が……何故だ。何故こうもエロ妄想ばかりが浮かぶ⁉ 暑さで脳が沸騰しているのだろうか。

 

 そんなことを言っている間にも時間は刻々と過ぎていく。

 ここはやはりハーゲンダッツで行こう。季節限定もあったはず……なにィ⁉ ガリガリくんにスイカ味あと!

 馬鹿な。最近はガリガリくんですら季節限定があるのか。そう言えば冬期にコンポタやシチュー味というものは見たことがあったが……ううむ、これはどうしたことか。

 

 迷っている暇はない。

 待たせれば待たせただけあの人の機嫌は悪くなる。

 嗚呼、何故巷(ちまた)にはこれほどまでにアイスが溢れているのだ。一種類だけなら迷うことなどないものを!

 

 

 

 

 

「で?」

「お待ちください。私が究極のアイスを作って差し上げます!」

 

 

 待ちくたびれた様子で長椅子に転がっている人に、買って来た材料を燦然を掲げた。

 完成品なら少量だが、原材料なら1000円あればそこそこ良いものが買える。

 さあ! これで究極で至高なアイスクリームを……

 

 

「俺は”今”食べたいんだけど?」